高校野球

甲子園の土を全国の高三球児約5万人に贈る|コロナ禍の光

ようこそベースボールの世界へ

 

2020年。パンデミックとなった新型コロナウイルス感染症。
その影響は世界中のあらゆる分野に及んでいます。

 

個人的に毎年楽しみにしている甲子園も例外ではなく、春のセンバツ夏の甲子園と両大会中止の決定が発表されました。

 

東京オリンピックも来年以降に延期という事なので、仕方のない事ではありますね。

 

その中で飛び込んできた一つのニュース。

 

甲子園の土を全国の高三球児に配布へ

このニュースを聞き皆さんはどのように感じましたか?

 

1.とてもいいアイデア
2.ステキなプレゼント
3.贈られて意味あるの?
4.特に興味ない

 

などSNSでも様々な反応があります。

 

元高校球児の私としてはハートフルな気持ちにもなりましたが、同時に3.贈られて意味あるの?という意見に注目してみました。

 

そこでこちらの記事では下の内容に沿って書いていきます。

 

 

 

高校野球の年間スケジュール 簡略

 

 

まずは高校野球の主な年間スケジュールを簡略化して説明します。
新一年生が入学して4月スタートとすると

 

4月  春季大会 【地方大会 → 都道府県大会】
5月  春季大会 【地区大会】
6月  なし
7月  全国高等学校野球選手権大会 地方予選
8月  全国高等学校野球選手権大会
9月  秋季大会 【地方大会 → 都道府県大会】
10月 秋季大会 【地区大会】
    国民体育大会
11月 明治神宮大会
12月 なし
1月  なし
2月  なし
3月  選抜高等学校野球大会

 

ざっくりとこんな感じです。

 

一般的に1年生、2年生を過ごし3年生の夏の大会を最後に引退するという流れで、活動できる時期は2年4か月ぐらいです。

 

毎月のように大きな大会があるかと思いますが、大会はすべてトーナメント方式なので、負けたチームはその時点で終わりになります。

 

ちなみに1年生の頃から試合に出て活躍なんてスーパー1年生とかでない限り難しいですよね。チーム事情で下級生の頃から試合に出場できるケースもありますが最上級生となると、つまり自分たちの年代になると思いも強くなります。

 

最終学年の目線で見てみるとわかりやすいので時系列をずらしてみます。

 

 

9月  秋季大会 【地方大会 → 都道府県大会】
10月 秋季大会 【地区大会】
11月★明治神宮大会
12月 なし
1月  なし
2月  なし
3月 ★選抜高等学校野球大会
4月  春季大会 【地方大会 → 都道府県大会】
5月  春季大会 【地区大会】
6月  なし
7月  全国高等学校野球選手権大会 地方予選
8月 ★全国高等学校野球選手権大会
10月★国民体育大会

★は全国大会

甲子園に出場できるチームはごく限られていますので、多くの高校は7月の地方予選を最後に8月からは新チームがスタートします。7月から始まる全国高等学校野球選手権大会 地方予選(いわゆる夏の大会)で負けた瞬間から次の学年に変わります。

 

学年的に2年生の夏秋頃から1年間が自分たちの年代の活動です。

 

6月下旬から地方予選が始まる地域もある

 

 

主に

9月  秋季大会 【地方大会 → 都道府県大会】
4月  春季大会 【地方大会 → 都道府県大会】
7月  全国高等学校野球選手権大会 地方予選

ここの3つの大会に向けて練習、調整していきますが9割以上のチームはここで敗退してしまいます。

 

勝ち進めれば

10月 秋季大会 【地区大会】
11月 明治神宮大会
3月  選抜高等学校野球大会
5月  春季大会 【地区大会】
8月  全国高等学校野球選手権大会
10月 国民体育大会

 

のような地区大会や全国大会に出場できます。
その他の時期は練習はもちろん、各地域で行われる公式大会や練習試合を行います。

 

 

10月の国民体育大会は夏の甲子園の結果を踏まえて出場校が決められ、3年生の出場機会となります。事実上3年生最後の公式戦全国大会です。

 

 

 

甲子園のチャンス

 

さて、どうすれば甲子園の大会に出場できるのか?

 

先述した最終学年の年間スケジュールで見ていきます。

9月  秋季大会 【地方大会 → 都道府県大会】
10月 秋季大会 【地区大会】
11月 明治神宮大会
12月 なし
1月  なし
2月  なし
3月  選抜高等学校野球大会
4月  春季大会 【地方大会 → 都道府県大会】
5月  春季大会 【地区大会】
6月  なし
7月  全国高等学校野球選手権大会 地方予選
8月  全国高等学校野球選手権大会

 

甲子園のチャンスは2回。

 

春のセンバツ【選抜高等学校野球大会】

春のセンバツ選考基準は複雑です。【センバツ】というだけあって高校野球連盟の選考委員会によって出場校が決まるからです。

とはいっても単なる好き嫌いや何となく選ぶなんてことはありません。

 

では、気になる選考基準はというと

 

(1)大会開催年度高校野球大会参加者資格規定に適合したもの。
(2)日本学生野球憲章の精神に違反しないもの。
(3)校風、品位、技能とも高校野球にふさわしいもので、各都道府県高校野球連盟から推薦された候補校の中から地域的な面も加味して選出する。
(4)技能についてはその年度全国高等学校野球選手権大会終了後より11月30日までの試合成績ならびに実力などを勘案するが、勝敗のみにこだわらずその試合内容などを参考とする。
(5)本大会はあくまで予選をもたないことを特色する。従って秋の地区大会は一つの参考資料であって本大会の予選ではない。

引用;フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

選ばれるために重要となってくるのが新チームがスタートしてすぐに訪れる9月からの秋季大会です。

 

9月  秋季大会 【地方大会 → 都道府県大会】
10月 秋季大会 【地区大会】

 

ここで出来るだけ勝ち上がります。

出来るだけってどれくらい勝てばよいか?各都道府県でチーム数が違うので勝ち数は目安ですが

 

地方大会(登録している全高校が出場)
↓ 2勝程度
秋季都道府県大会
↓ 4勝程度
秋季地区大会(各都道府県の優勝、準優勝校など2校程度が出場)
北海道、東北、関東、東京、東海、北信越、近畿、中国、四国、九州の10地区
に分かれてトーナメント戦で3勝程度するとだいたいベスト4ぐらい。

 

各地区大会でベスト4に入れば春のセンバツに出場できる可能性が出てきます。

さらに優勝、準優勝出来れば結構濃厚。

つまりこの秋季地区大会の成績が選抜高等学校野球【春のセンバツ甲子園】の出場校選考の重要な判断材料になります。

 

しかし、公式にはこの秋の地区大会が春のセンバツ甲子園の予選ではないと明記されていますので重要な参考資料にはなるけどこの限りではない。という感じです。

 

各地区大会の10地区の各優勝校が明治神宮大会という全国大会に出場することが出来ます。

 

春のセンバツ出場条件のまとめ

 

現在の出場枠は

一般選考枠 28校程度
とにかく9月から始まる秋季大会で地区大会のベスト4を目指す。
明治神宮大会枠  1~2校程度
明治神宮大会とは北海道、東北、関東、東京、東海、北信越、近畿、中国、四国、九州の10地区の各地区大会で優勝した10チームが出場できる全国大会。
この大会で優勝した地域に設けられる出場枠があるので、自分の地区のチームが優勝することを祈る。
21世紀枠    3校程度

環境が整っていない学校や豪雪地域、名門大学への進学率が高いなど選考基準は多々あるようですがやっぱりこの秋季大会である程度の結果は残さなくてはなりません。

現在のラインは128校を上回る都道府県ではベスト32、それ以外の県ではベスト16以上ということです。

 

 

 

夏の甲子園【全国高等学校野球選手権大会

 

夏の甲子園は単純明快です。

7月  全国高等学校野球選手権大会 地方予選
8月  全国高等学校野球選手権大会

 

早い地域では6月下旬から始まりますが、大体の地域では7月から高校野球の集大成である夏の大会がスタートします。

 

夏の甲子園の出場条件はわかりやすくて各都道府県大会で優勝すれば機械的に甲子園への切符が手に入ります。

 

北海道は北北海道|南北海道で各1校 東京は東東京|西東京で各1校代表枠あり

 

 

 

なぜ高校球児は甲子園を目指すのか?

 

野球がさかんな諸外国アメリカやキューバ、アジア圏では日本はもちろんのこと韓国や台湾も世界のトップレベルまで飛躍しています。

しかし、高校生の学生野球がこれほど毎年の一大イベントとして認識されている日本は非常に珍しいケースです。それほど小さい頃から意識づけされた日本の文化になっているのでしょう。

 

中にはイチロー選手のように甲子園に出場して自分をアピールすることでプロ野球入りを目指すという選手もいます。確かに甲子園は日本のプロ野球に入るには絶好のアピールの場になります。

 

そういった意味も含めて甲子園は球児の目標であり家族の夢。
家族にとってもまるで自分のことのような青春なのではないでしょうか。

 

 

ちなみに高校野球に関わっていない評論家などからは

・わざわざ夏の一番暑い炎天下でやる高校野球はおかしい
・もっと違う時期にやればいい

などの意見があるそうです。

 

このような意見に対して当事者の球児や家族たちは

・暑い時にやるから燃える
・暑くなかったら甲子園じゃない
と真っ向否定。やっぱり青春って感じなんですね。

プレーする選手も応援する側も体調管理には気を付けてください。

 

 

 

甲子園の土を持ち帰る理由

 

テレビで高校野球を見ていると試合後に選手が土をかき集めている姿を目にしませんか?実は高校野球には甲子園に出場して、負けてしまったチームは土を持ち帰るという伝統があります。

 

・甲子園の土を初めて持ち帰った人 川上 哲治 (1937年、夏の23回大会)という説があります。

引用;阪神甲子園球場HP

阪神甲子園球場のホームページにこのような記載がありますが、甲子園球場側も事実は把握出来ていないようです。

1937年に行われた甲子園大会の決勝戦で川上哲治さんが負けた悔しさから、甲子園の土をポケットに入れて持ち帰ったのが、最初と言われています。

 

では甲子園の土を持ち帰る高校球児の思いとは?

1・甲子園に出場できた記念
2・来年も甲子園にて来て欲しいという後輩への期待
主にこの2点です。

辛い練習も仲間と乗り越えてきた結果、甲子園出場という夢を実現出来たのですから記念で何か欲しい気持ちはすごく共感できますよね。後輩たちに来年もまたという思いもすごく素敵なエピソードです。

 

まとめ

 

甲子園出場は小さい頃からの夢であり、家族の夢。
そんな大舞台で繰り広げられる真剣勝負に日本の高校野球ファンは魅了されるのでしょう。

 

昨年までの球児たちが自ら勝ち得た土には目標に向かって努力できた証があり、今年の全国高三球児に贈られる土には甲子園という目標はなくなってしまった代わりにこれからの彼らの人生において社会で頑張る糧になるのだろうという期待感があります。

そんな彼らが今後の日本を担うコロナ渦中の光、希望となってもらいたいと願っています。

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